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2008年5月 アーカイブ

2008年5月 7日

ちりとてちん:その五

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5月5日,6日の二日にわたって総集編が合計200分放送されたわけであるが,懸念していたことがまともに起こってしまっていた.
本放送時から,この相互に複雑に絡み合った個々のエピソードが総集編ではどのようにまとめられるのだろうか?と考えていたのである.
全151回あったので,単純計算で2265分(37時間45分)が200分にまとめられたと言うことは1/10以下である.
前編で100分中,約30分が第一週分に費やされていた.物語全体のキーとなるヒロイン・喜代美の祖父・正太郎との関わりに重点が置かれたのはよく理解でき
るが,重要と思われるエピソードがずいぶんととばされてしまっていた.
まんべんなく織り込むには無理があることは十分にわかっている.
・喜代美と清海の間に,結末近くまでしこりとして残り続ける恐竜の化石事件
・喜代美が草々に恋心を抱くきっかけとなったデタラメな辻占茶屋と,清海,草々との三角関係
・内弟子生活,高座名命名と大失敗の初高座
・清海が東京に行くきっかけとなる喜代美の告白
・草々の破門騒動
・親子ともども夫婦喧嘩
・清海の挫折・変貌と秀臣の塗り箸への思いの吐露
・小草若の失踪と復帰
ざっと挙げるだけでもこれだけある.
しかも,私は上方落語からこの作品に入っていったので,落語モチーフの大半が端折られていることが非常に不満が残った.
平均視聴率は,過去の連続テレビ小説でも最低.しかし,終盤近くには朝ドラとして数年ぶりに20%超を記録した.
ということは,この総集編でしか本作品に触れない人も多いはずである.そんな人たちにも魅力が伝わったのだろうか,「噂に聞いてて総集編を見たけど,全然面白くなかった」と感想を持たれると一回も逃さず見ていたファンとしては不本意である.

当初,低視聴率の原因がキャストの弱さにあるのではとの説もあったが,逆に突出したキャスティングでないからこそ,ヒロイン・喜代美の体裁をとってはいるが,その実,二つの和田家と徒然亭一門全員が主人公で濃い複雑な内容となり得たのではないだろうか.

5月21日から3ヶ月連続で完全版DVD-VideoのBOXセットが発売される.既にシリーズ3セット購入予約済みである.
「そこまで?」と問われても,「そう,そこまで」と答えるしかない.
落語は古典で同じ噺を聞いても,全く同じところで笑ってしまう.
女流落語家としてのサクセスストーリーではないながらも古典落語が物語を構成する各部品のモチーフになっているだけに笑いのツボも同じなのである.

2008年5月14日

ERIC CLAPTON THE AUTOBIOGRAPHY

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「エリック・クラプトン自伝」
Eric Claptonというアーティストを意識して聴くようになってこれまた20年である.
初めて聴いたのが『Back Trackin'』という2枚組のベスト盤である.はっきり言ってしまって最初は退屈だった.これが「ギターの神」と呼ばれる人の音楽なのか?と.
いくらおとなしくてもハイティーンの血気盛んな頃である.レイドバックサウンドよりもハードロックのほうに魅力を感じる.
まあ,いいところ,CREAMの「CROSS ROADS」止まり.なにしろ,ロックギターの系譜としてはEdward Van Halenに直接的に繋がっていく演奏である.
そんな印象だったのでまともに聴くのではなくBGM的に流していたら,じわじわと効いてきたのである.そうやってのめり込んでいった.
雑誌やムック本は除いても,彼の伝記本は,
「孤高のギタリスト/エリック・クラプトン」
「エリック・クラプトン・ストーリー(原題:SURVIVER)」
「エリック・クラプトン・コンプリート・クロニクル」
「エリック・クラプトンの軌跡」
「エリック・クラプトン/イン・ヒズ・オウン・ワーズ」
「エリック・クラプトン/レコーディング・セッション(原題:ERIC CLAPTON THE COMPLETE RECORDING SESSIONS)」
「エリック・クラプトン/スローハンド伝説(原題:Lost in The Blues)」
また,
「CRAEM/STRANGE BREW」
「名盤の裏側 デレク&ザ・ドミノス インサイド・ストーリー」
くらいは,これまで読んできた.
これらは,あくまで,第三者が著した本なので所詮は,本人へのインタビューが織り込まれたとしても外から見たことしか書けない.
しかし,今回は本人のペンによる本である.最も赤裸々で最も生々しい.

読み進めながらずっと思っていたのは,こんなデタラメな人間がいていいのかと言うことである.
ファンとして彼に興味を持ち続けている者としては,前述の伝記や雑誌記事等でだいたいどんな生い立ちでどんな人物で,というのは知っているつもりだった
が,それを軽く凌駕し,また,この人が大人になれたのは50歳を過ぎてからやっとだったのかということにも呆れた.
私ですら,呆れるのだから,『UNPLUGGED』や『PILGRIM』あたりから聴き始めた人などが,この本を読むと陰鬱な気分になるのではないだろうか.
よくぞ,ロックミュージシャンという職業があったものだと思う.完全に人間として破綻しているではないか.
それぞれの伝記を読むごとにショックに思っていたのは,好きな作品がグダグダの状態で創作されて録音されたことである.
例えば,映像作品として残っている『OLD GREY WHISTLE TEST(1977)』,これなどは,いかにもアルコール中毒まっただ中という印象を受ける表情で生彩を全く欠いているが,『THE ERIC CLAPTON CONCERT(1986)』は,それまででベストライブという評判だったし,私も少人数で気合いの入ったのびのびとした演奏が気に入っているのだが,このときですらアルコール中毒から脱していなかったと言うことである.
私がスタジオ盤で最も好きなのが,『MONEY AND CIGARETTES』である.地味だがノリの良い曲もある,少しカントリーっぽいイメージのアルバムである.しかし,これですら,かなりやっつけ仕事だったような書かれ方だった.
また,原文がそんなだったのか,翻訳が良くないのか,箇条書きのような文章であまり読みやすい文章とは言えなかった.

Eric Claptonという御仁,どうしようもない人物だが,そのどうしようもない人物の作品を20年以上に渡って,しかもプロデビュー時まで遡って好んで聴い
ている私のようなファンもどうしようもない人間なのだろう.

2008年5月24日

JIMMY COPLEY & FRIENDS / SLAP MY HAND

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90年代初頭以降,チャー先生の相棒として知られる,Jim Copleyの初のリーダーアルバムである.
ドラムスは演奏できないが,PSYCHEDELIX以来,私のフェイバリット・ドラマーである.
タイトで高らかなスネアが非常に特徴的な演奏である.
チャーの「SMOKY」はスタジオ録音だけでも,4パターンが知られているが,PSYCHEDELIXの「SMOKY」すなわちJimのドラム演奏のバージョンが最も良いと思う.
「SMOKY」は,リズムセクション,とりわけドラムスの決めが重要である.
最もJimが綺麗に決まっていると思う.突っ込み気味に聞こえるのに正確無比である.

参加ギタリスト達が豪華である.チャーはもちろん,Jeff BeckやMicky Moody,Bernie Marsdenら.
ベースには,Paul JacksonやVOW WOWファンでもある私には懐かしいNiel Murrayら.
ミュージシャンとしてJimがどれだけ信頼されているか想像に難くない.
PSYCHEDELIX以降,約10年間は,チャー&Jimのコンビネーションを聴いてきたせいか,チャー参加曲がとても手慣れた感じでしっくりくる.
ほとんどの曲が一発録りということに驚かされる.

そういえば,PSYCHEDELIXが始動した頃にチャー先生がJimを「ドラムのヤツは何回も叩きたがらない」と評していたことを思い出した.

十何年か前に学生の頃の友人(鍵盤弾き)に,PSYCHEDELIXの1stを聴かせたことがあったが,「Move on」の単純だが印象的なギターのリフとJimの演奏に感心していた.

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