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ERIC CLAPTON THE AUTOBIOGRAPHY

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「エリック・クラプトン自伝」
Eric Claptonというアーティストを意識して聴くようになってこれまた20年である.
初めて聴いたのが『Back Trackin'』という2枚組のベスト盤である.はっきり言ってしまって最初は退屈だった.これが「ギターの神」と呼ばれる人の音楽なのか?と.
いくらおとなしくてもハイティーンの血気盛んな頃である.レイドバックサウンドよりもハードロックのほうに魅力を感じる.
まあ,いいところ,CREAMの「CROSS ROADS」止まり.なにしろ,ロックギターの系譜としてはEdward Van Halenに直接的に繋がっていく演奏である.
そんな印象だったのでまともに聴くのではなくBGM的に流していたら,じわじわと効いてきたのである.そうやってのめり込んでいった.
雑誌やムック本は除いても,彼の伝記本は,
「孤高のギタリスト/エリック・クラプトン」
「エリック・クラプトン・ストーリー(原題:SURVIVER)」
「エリック・クラプトン・コンプリート・クロニクル」
「エリック・クラプトンの軌跡」
「エリック・クラプトン/イン・ヒズ・オウン・ワーズ」
「エリック・クラプトン/レコーディング・セッション(原題:ERIC CLAPTON THE COMPLETE RECORDING SESSIONS)」
「エリック・クラプトン/スローハンド伝説(原題:Lost in The Blues)」
また,
「CRAEM/STRANGE BREW」
「名盤の裏側 デレク&ザ・ドミノス インサイド・ストーリー」
くらいは,これまで読んできた.
これらは,あくまで,第三者が著した本なので所詮は,本人へのインタビューが織り込まれたとしても外から見たことしか書けない.
しかし,今回は本人のペンによる本である.最も赤裸々で最も生々しい.

読み進めながらずっと思っていたのは,こんなデタラメな人間がいていいのかと言うことである.
ファンとして彼に興味を持ち続けている者としては,前述の伝記や雑誌記事等でだいたいどんな生い立ちでどんな人物で,というのは知っているつもりだった
が,それを軽く凌駕し,また,この人が大人になれたのは50歳を過ぎてからやっとだったのかということにも呆れた.
私ですら,呆れるのだから,『UNPLUGGED』や『PILGRIM』あたりから聴き始めた人などが,この本を読むと陰鬱な気分になるのではないだろうか.
よくぞ,ロックミュージシャンという職業があったものだと思う.完全に人間として破綻しているではないか.
それぞれの伝記を読むごとにショックに思っていたのは,好きな作品がグダグダの状態で創作されて録音されたことである.
例えば,映像作品として残っている『OLD GREY WHISTLE TEST(1977)』,これなどは,いかにもアルコール中毒まっただ中という印象を受ける表情で生彩を全く欠いているが,『THE ERIC CLAPTON CONCERT(1986)』は,それまででベストライブという評判だったし,私も少人数で気合いの入ったのびのびとした演奏が気に入っているのだが,このときですらアルコール中毒から脱していなかったと言うことである.
私がスタジオ盤で最も好きなのが,『MONEY AND CIGARETTES』である.地味だがノリの良い曲もある,少しカントリーっぽいイメージのアルバムである.しかし,これですら,かなりやっつけ仕事だったような書かれ方だった.
また,原文がそんなだったのか,翻訳が良くないのか,箇条書きのような文章であまり読みやすい文章とは言えなかった.

Eric Claptonという御仁,どうしようもない人物だが,そのどうしようもない人物の作品を20年以上に渡って,しかもプロデビュー時まで遡って好んで聴い
ている私のようなファンもどうしようもない人間なのだろう.

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2008年5月14日 19:12に投稿されたエントリーのページです。

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