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2008年6月 アーカイブ

2008年6月21日

船頭多くして…

色々と物議を醸している奈良平城遷都1300年祭のマスコットキャラクターだが,“公式”「せんとくん」の他に「まんとくん」「なーむくん」という“有志”によるキャラクターが6/21現在で二つも出てくるという異例の事態になっている.
歴史には多少なりとも興味はあるし,隣県だし,近鉄電車で普通に乗っても30~40分で行ける所なので少し気になっている.
公式キャラクターの「せんとくん」は,かわいくないだの,気持ち悪いだの,仏様を侮辱しているだの,散々な言われようである.
かわいくない,気持ち悪いは,理解できる.デフォルメと単純化が進んでいないのでどう考えても着ぐるみ栄えがするとは思えないのだ.
しかし,納得できるようでちょっと考えると納得できないのが,仏教界の「仏様を侮辱している」という非難である.
一見,仏に獣である鹿の角を付けることは冒涜しているように思える.
だが,奈良の鹿は神の使い“神鹿”であり,春日大社に属する.江戸期には幕府が鹿の餌料を支給し,鹿を殺した者は死罪であった.それほどのものである.
さらに,興福寺と春日大社は,藤原氏の氏寺・氏神であり,明治期の廃仏毀釈を経験はあるものの,神仏習合のならいは守られ,一体のもので境界がないといっても過言ではないのである.
だから,仏の頭部に鹿の角というモチーフは,奈良を象徴するキャラクターとして全く問題ないのではないだろうか.

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