« 2007年5月 | メイン | 2007年7月 »

2007年6月 アーカイブ

2007年6月11日

寝ずの番

原作:中島らも
監督:マキノ雅彦(津川雅彦)

東京出張の折,新幹線車中で読もうと短編集『寝ずの番』を新大阪のブックス・キオスクで購入して乗車した.
津川雅彦がマキノ雅彦名義で第一回監督作品として制作した映画の原作である.
らもさんの本は学生の頃からエッセイを中心に漫画代わりに好んでよく読んでいた.
「らも咄」という創作落語の作品や自らも落語を演ることもあったので落語には造詣が深い.
そんなこんなで興味があって,この短編集を読み,映画ビデオを観た.
いままで,原作付き映画を観て,原作のイメージが損なわれていると思ったことが多かったが,本作はほぼ原作通り.
映画ということでアホネタに終始することなくホロッとさせるところを追加しつつも原作のおもしろさも殺していない.
長門裕之や笹野高史,岸辺一徳と曲者の役者ばかりである.面白くないはずがない.
昨今,話題の北野武や松本人志監督作品のように俳優・津川雅彦としては出演していない.
マキノ雅彦として監督のみである.

内容に関わることに少しふれると,上方落語の一門が登場人物である.
主演の中井貴一や木村佳乃というキャストを見て,江戸落語に置き換えているのかと思ったが,原作通りの上方落語ということでやや不安だったのだが,皆おおむね上方ことばがサマになっていた.関西出身の役者が多いので当然といえば当然である.
端々にちょっと違うというところもあったが立派なものである(あの芸達者なはずの堺正章を除いて…,大阪弁については1カット出演のイーデス ハンソンのほうが格段に上である).
ただ,残念なことに絶対にこの作品はテレビ(少なくとも地上波)では見ることができない.
性器を指す放送禁止用語が連発されるのである.しかもカットすればすむような場面ではない.話のキーなのである.
らもさんの作品としてはいつものごとく,であるが,マキノ映画の復活作品としてよくもこれが選ばれたものである.
もっと不可解なのが,この作品は芸術文化振興基金助成事業の補助を受けた文化庁支援作品なのである.
冒頭に木村佳乃のドライな濡れ場(?)はあるわ,クライマックスは女性陣も巻き込んでの下ネタのちょんこ節の歌合戦である.

少しでも上方落語の知識があれば,誰がモデルかは想像がつく.
長門裕之演じる笑満亭橋鶴とは,名前と「らくだ」を十八番とするその豪放磊落なイメージから,六代目笑福亭松鶴,そして石田太郎演じる落語作家の小田先生とは小佐田定雄氏であろう.

2007年6月19日

たまには日記めいたものなど

6月17日は,日曜にもかかわらず東京出張だった.
目的地が末広町で,早く着いたので御茶ノ水~神保町を久しぶりに流した.

ある楽器店店頭のショーウインドウに目が止まった.
Guyatone FLIP GA-300FCの中古品が14,800円!
ほ,欲しい…!
私が高校生の頃(1980年代中盤)に安価で初心者にも扱いやすい真空管アンプとして一部で絶大なる評価を集めたギターアンプである.
これの下位機種であるGA-100FCは長年愛用しているアンプである.
違いは,クリーン/ドライブの切替チャンネルとスプリングリバーブがGA-100FCには搭載されていないことである.
出力の違いが筐体の大きさに表れているので,余分な回路を納めるスペースが10Wには無かったためであろう.
これが大阪の街中で見つけたものならば,間違いなく衝動的にその場で買って帰るところである.
30Wのコンボアンプなのでそれなりの大きさと重量がある.出張帰りにえっちらおっちら新幹線で持帰れるような代物ではない.
これほどの大きさであれば宅配便でもかなりの送料が発生して予想以上に高くつく.
ほんの一瞬ではあるが,このときほど大阪にお茶の水と同様の楽器街が無いことを恨めしく思ったことはない.神保町古書街にしても同様である.
(秋葉原電器街は日本橋電器街を手本に作られた町なので,街の規模が小さくてもさほどの不満はない,むしろ秋葉原には五階百貨店のような商店会がないので,私としては日本橋に優位性があると感じている.)

仕事から解放された後には,約2年ぶりに,ともにゃんさんに会い,神保町の某珈琲店にて音楽談義等に花を咲かせた.

2007年6月22日

ANN LEWIS / HEAVY MOON

heavymoon.jpg
じみへんさんのブログを拝読して,紙ジャケットで復刻されたことを知り,早速購入に走った次第である.
数年前には,「WOMAN」「六本木心中」などがカラオケの定番曲としてロングセラーを続ける中,この作品は廃盤状態にあり,CDは熱心なチャーファンの間で数万円で取引されていたという.
私は,当時に近所の中古レコード店にてアナログ盤を1600円で入手している.
よく,紙ジャケットCDはLPのミニチュア,などといわれるが,写真左の当時のLPと今回の復刻CDのジャケットを見比べていただければわかるように100%再現できていない.
この作品は帯が特異なのである.通常はジャケット左側に文字通り帯のように巻いてあるのだが,本作品の帯は写真右上のように中ジャケットとつながっており,中ジャケットを折り返してあって,写真左のようにジャケット右側に帯があるような格好に映る.
復刻CDは通常の紙ジャケと同様に“帯”ではなく“キャップ”となっている.
しかも,目を凝らしてみてみると,復刻CDのジャケット,キャップともに原版から起こしたものではなく,コピーのようである.
CDのレーベル面はLP盤のレーベルを模した形となっている.

さて,中身であるが,チャーのプロデュースであり,シングル曲以外のほとんどの曲がPINK CLOUDの演奏でバンドサウンドはほとんど『KUT KLOUD』と変わらないので,私のようなチャーファンが聴くと,どうしてもPINK CLOUDの作品にAnn Lewisがゲストヴォーカルに入ったように聞こえてしまう.
名義こそAnn Lewisのソロであるが,Ann Lewis with PINK CLOUDあるいはJohnny, Louis, Char & Annとしたほうがよいほどなのである.
チャーのデビューシングルである「NAVY BLUE」も収録されており,1988年の渋谷公会堂の実況盤『PSYCHE 1988』でもこのデュエットが再現されている.
チャーももともと色気のある声の持ち主であるが,Ann Lewisの声がこの曲の中で絡むとよりSEXYな印象が強くなる.

タイトルが,思い付き→重い月→HEAVY MOONとまるで上方落語の大喜利のように決まったのは有名な話である.

About 2007年6月

2007年6月にブログ「Weblog : 侃侃諤諤」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2007年5月です。

次のアーカイブは2007年7月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Creative Commons License
このブログは、次のライセンスで保護されています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.