TVドラマ
もともと私はあまりTVドラマは見ることは少ない.NHK大河ドラマすらも見なくなって5年以上経つ.
しかし,最近,とみに思う.ドラマの脚本家というのは何をやっているのだろうか.
ほとんどが漫画原作のドラマ化である.オリジナルのテレビドラマのヒット作品がほとんどないように思う.
たいていの漫画家はストーリープロットと作画を同時に行っている.両方の能力が同時に要求される.
ドラマ作家は言ってみれば言語表現力だけで,作画力までは要求されない.
漫画というのは,もともとビジュアルが伴っている.
以前にも同じことを書いた覚えがあるが,いわゆる“漫画”は絶滅し,ほとんどが“劇画”である.
わざわざ実写化するとかえってそれぞれの読者がもつイメージを壊しかねない.
コマ割りという離散値的表現が,映像という連続量的表現よりも効果的なことも少なくない.
にもかかわらず,高視聴率を稼ぎ出すのは漫画原作付きドラマである.
漫画に負けているのはなんと情けないとテレビ制作は危機感を持たなければならないはずである.
紙の上という限られた中での表現が,音声と映像のテレビがまったく及ばないのである.
デジタル化やハイビジョン化といったハードウェアのほうは,進化の留まるところを知らないが,むしろソフトウェアはどんどん退化しているように思えてならない.