UNPLUGGED
この言葉が安易に使われるようになったのはいつからだろうか。
やはり、エリック・クラプトンのあのアルバムの大ヒット以降か。
昨今の日本での、2度とは来ないだろうと思っていた、フォークブームにも少なからず影響はあるだろう。
もともとの『MTV UNPLUGGED』というTV番組の音源がレコードとして発表されたのは、ニール・ヤングだったか、ポール・マッカートニーだったと思う。しかも題は「公式海賊盤」。
当初の企画は斬新で意義もあったと思う。
特にクラプトンのそれなどは、これまで、伝記等ではギターをはじめた10代半ばの頃にロバート・ジョンソンなどのデルタ・ブルーズをコピーしていたと書かれていたが、クラプトンが実際に生ギターでブルーズを原形に近い形で演奏したのは貴重である。
なのにである。
「Tears in Heaven」のヒットである。濃い目のファンの私としては何をいまさらと思ったものだ。
かの曲は『UNPLUGGED』ではなく、サウンドトラック『RUSH』がスタジオ盤のオリジナルである。
それにオクターブ落とした、Jazzyな「Layla」。これも貴重とは思ったが、のちのツアーではずっとこのパターン。
あの激しい、親友の妻との不倫の恋を歌ったラブソングが、こんなに落ち着いてよいものか!?と思った。
オリジナルの形で声が出ないのなら、やらないほうがマシと思った。
大ヒットで非常に陳腐な作品に成り下がってしまったように思えてならない。
当人も気に入っておらず、リリースを渋ったらしい。しかし、当人が気に入らない作品に限って売れてしまうのは皮肉なハナシである。
最近では、UNPLUGGEDと謳いながら、プラグインしてたり、訳がわからない。
最近街を歩くと、レコード店店頭などで宇多田ヒカルの『UNPLUGGED』がデモで流されていることが多い。
しかし、耳に入ってくるのを聞いて、「これはアンプラグドなのか?」と思った。
リズムが打ち込みではないのか?はたまた、アンプラグドらしさは出ているのか?
話をクラプトンに戻そう。
あのライブアルバムは、ロック(エレキ)・ギターの"神"エリック・クラプトンが生ギターで自分のルーツに戻ったのを、
耳にまた目の当たりにできるのが貴重なのである。
「Tears in Heaven」ではない。この曲を聴いて感動する若い女性が大勢いるであろうが、とんでもない話である。
クラプトンのようなギターを弾き、歌いたいとは思うが、人生まで真似しようとは思わない。
ヤク中でアル中、それ以前に女たらし。
世界一キツイ煙草、"Rothmans"を喫う。
今は禁煙しているが、なんともその理由が彼らしい。
「女の子とロマンティックな気分になってるのに痰が絡んで興ざめだから」だそうである。
最後まで残った病気は女癖の悪さのようである。