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パクリかオマージュか?

さて,これはどう判断するか?そのミュージシャンの態度によるだろう.

例えば,佐野元春の名曲「SOMEDAY」はブルース・スプリングスティーンの「HUNGRY HEART」にそっくりと言われている.
また,スタイル・カウンシルにそっくりの曲もある.
でも,パクリとは呼ばない.これは,「この人の音楽に感動を覚えました.」という態度が読み取れる.
ラジオやインタビューでそれとなく宣言されているのである.

また,CHARの曲にもジミ・ヘンドリックスの「FOXY LADY」に良く似た「FINGER」や「FIRE」に似た「FEEL THE GROOVE」と言うのもあるが,CHARのファンの大半は,ジミヘンなど常識的に聴いている.だから,パクリとは解釈しない.
わかりきっていることであり,アーティストとファンの同意が無言のうちに取れているのである.
それにパクリどころか「MANIC DEPRESSION」などのカバーもライブでは披露するほどである.
逆にパクリと言うほうが,認識不足を指摘されて恥をかくだけである.

では,パクリと解釈するのはどんな場合かと言うと,80年代の前半,米のHRバンド"NIGHT RANGER"のデビュー曲「DON'T TELL ME YOU LOVE ME」のイントロのパターンがシブがき隊の曲でまるまる使われた.
来日を招聘したイベンターは青くなってメンバーに聞かせないようにピリピリしていたらしい.
実は,その前にすでに知っていて,ジョークにしていたらしいが.
最近では朝娘。の曲に書いたのがまともに70年代末のディスコのパクリである,つんくである.
要するに主だったリスナー層が知ってるか知らないかを意識しているかどうかで「どうせ知らないんだから,使ってやれ」というあざとさが見えるかどうか,これに尽きる.
B'zの曲にしても,リスナーがLED ZEPPELINやDEEP PURPLEに遡るのか?というところで分かれるだろう.

隠れたパクリの名手が大滝詠一である.
こんなエピソードがある.とある自他ともに通と認める音楽ライターが大滝詠一に意を決して恐る恐る尋ねた.
「あの~,大滝さん,今度の新作のあの曲って,○○の××と●●の△△とをパクッてませんか?」
答えた大滝詠一のたまわく,
「あれ?二曲しか分かんなかった?」
実は,もっとパクッてたのである.彼のほうが上手である.
しかし,重箱の隅を突付くごとくマニアックすぎて,さしものライター氏も分からなかったのである.
ここまでやれば,立派である.ある種,パクリとはこうあるべきかもしれない.

恐るべし,大滝詠一.
つんくも有名どころをパクッてないで,彼を見習え!

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2001年12月24日 01:48に投稿されたエントリーのページです。

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