
NIGHT RANGERの新旧ライブ記録である.
Japan Tour '83は,本国アメリカ合衆国でのブレイクの呼び水となった新宿厚生年金会館でのライブ映像のDVD-Videoによる復刻,
Rockin' Shibuya 2007は,C.C.レモンホール(旧渋谷公会堂)の昨年の来日コンサートのCD2枚組実況録音盤である.
なんだかんだ言いながらNIGHT RANGERも聴き始めて20年を過ぎた.
アメリカンハードロックで初めて聴いたバンドがNIGHT RANGERである.実はVAN HALENよりも先にNIGHT RANGERだったのである.
エレクトリックギターに興味を持ち始め,数多くのギタリストを漁り聴いていた頃である.
トレモロアームの名手がいるバンドと言うことで聴き始めた.すなわち私にとってはNIGHT RANGERはBrad Gillisである.
典型的なウェストコーストのアメリカンサウンドではないだろうか,爽快感とおおらかさ,そしてボーカルやツインギターのハーモニー.
1983年のライブはまだ2ndアルバムまでしか発表されていない段階で新鮮なパワー感が堪能できる.
かつて,VHSで所有していたが,あまりに見過ぎたため,テープがダメになってしまった.そのくらい見た作品である.
当時,日本での所属レーベルはワーナー・パイオニアだったのに,CBSソニーから発売されていた不思議な作品である.今回もソニーミュージックから発売された.
それ故に版権の問題でこのDVDでの復刻がかなり難航したことがライナーノーツに記されている.
本国で大ヒットしたSISTER CHRISTIANも収録されているが,まだ,バラードバンドのレッテルが貼られていなかった頃で,最もNIGHT RANGERらしいのではないだろうか.
画面をみると普通のバンドと異なっているのは,リズムセクションの二人がリードボーカルなので舞台上手にドラムセットが置かれていることである.
Brad Gillisのトレードマークである改造された赤いストラトキャスターもまだ真新しく,Jeff Watsonもレスポールである.
2007年のライブは,既に再結成から10年を過ぎている.このことだけをとってもあの解散がバンドにとって不本意なものだったとわかる.
とはいえ,オリジナルメンバーから二人入れ替わっている.しかもバンドの二枚看板のうちの一人Jeff Watsonがいない.
代わりに舞台下手に立っているギタリストは,Reb Beach.言わずと知れたWINGER~WHITE SNAKEのギタリストでもある.
WINGERも大好きなわけだが,タッピングの名手ではあるけれどもBradと同系統のギタリストだと私は思っていたのでRebのNIGHT RANGER参加は意外なことだった.
メンバーチェンジがあると言うことは,バンド内に不協和音が発生したということもいえるが,ノスタルジーだけでつながっているのではなく進化していると前向きに解釈したい.
そのことを如実に表しているのが,2枚組でボリュームがあるにもかかわらず,BradとRebそれぞれのソロコーナーがないことである.
これまでのライブ記録を見返してみるとどうもJeffはソロコーナーをもちたがったような印象を受ける.その辺りが脱退の遠因であるかも知れないと思ってしまう.
前述のBradの赤いストラト,引退させたと聞いていたがジャケット写真に写っているのでよくよく見てみると,80年代に市販されていたFernandes製である.
聴いていて違和感があるのが,Bradが左チャンネル,Rebが右チャンネルから聞こえてくることである.ミキシングが間違っているのではなかろうか.
NIGHT RANGERのライブ記録というと,このほかに映像で1985年の『7 WISHES TOUR』,映像と音声で1989年の『JAPAN IN MOTION』,解散・再結成を経て音声で1997年の
『ROCK IN JAPAN』がある.
かつては,アルバム『BIG LIFE』からの選曲が全くなかったが,今回の『Rockin' Shibuya 2007』では『MAN IN MOTION』からが全くなかった.
やっぱりJack BladesはNIGHT RANGERを主たる活動の場としてほしいとNIGHT RAINGERのライブパフォーマンスを視聴して強く思うのである.TMGは血迷ったとしか思えない.