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2013年5月 アーカイブ

2013年5月 5日

トーニングシューズ

アメリカでは,Reebok社の「EASYTONE」,Skechers社の「SHAPE-UPS」などが虚偽広告ということでメーカーは罰金を支払い,返金にも応じているという.
日本では相変わらずTVCMが流れている.
かくいう私もつい最近,ウォーキング用と通勤用にトーニングシューズを二足購入した.
ずっとレディスしか店頭に並んでいたなかったものがようやくメンズが見られるようになったためである.
しかし,私自身はだまされたとも思っていないが,確かに減量や体脂肪減少などのシェイプアップ効果については怪しいのかもしれない.

古来,一本歯下駄というものがある.普通は二枚の下駄の歯を一枚として非常にバランスがとりにくくしてある.
ふくらはぎに常に負荷がかかるようになって,よほど関節に問題を抱えていない限り,悪い作用はあまり考えられない.
数年前に,右股関節の痛みと右足底腱膜症が同時に起こったがスクワットと通勤電車内で体重を掛ける脚を左から右に変えることで治った.
トーニングシューズはわざと不安定に作ってあるので常にふくらはぎに力が入り,筋肉が弱るのを防いでくれるはずである.
まさか,普段の生活で一本歯下駄を履くわけにはいかないので,これはよいと思ったのである.
そのほかにも気のせいかもしれないが,背筋が伸びるような感じがあるのと,歩くときの蹴り出しが飛ぶように感じる.

まあ,広告の謳い文句と私の期待する効果が似て非なるものなので何の問題もないのである.
問題といえば,誇大広告,虚偽広告のレッテルを貼られてまたもや決して悪いものではないのに商品が消えてしまって継続使用できなくなることである.

2013年5月13日

ピックアップ配列

一応,一般に考えられるピックアップ配列のギターはすべて所有していることになるのではないだろうか.
レースセンサーだが,3S(黒のST-314).
ストラトだが,2H(自作コンポーネント).
シングルサイズハムだが,SSH(白のST-314).
ヘッドレスだが,HSH(Spirit GT-PRO DELUXE).
ムスタングだが,2S(MG-69).
(全部“―だが”と但し書きが入るのがへそ曲がりぶりを示しているのではなかろうか.“―の”となるなら納得しやすいのだが.)

ずっと,オーヴァードライブサウンドを主眼においたドライブチャンネルのみのGuyatone FLIP GA-100FCを使ってきたものだから,ハーフトーンというものに関心を寄せてこなかったのだ
が,H&M model30を入手してクリーントーンに気が向くようになった.
3Sのハーフトーンをクリーンで鳴らしてみたときに,ハーフトーンとはこんなに気持ちのよい音だったのかと再認識したのである.
当然ながら,Eric Claptonや安藤正容の演奏でハーフトーンの魅力はわかっていたつもりだが,自分が出す音ではないと思っていたのである.
それにムスタングのインフェイズとアウトフェイズの違いなどこんなに面白いものだったかと思った.
せいぜい,ブリッジピックアップをネックピックアップに切り替えるとトーンが甘くなるくらいにしか思っていなかったのである.
ホントにいまさらである.我ながら高校生の頃から弾いているとは思えない.
また,もともと,4芯式のハムバッキングピックアップでコイルタップさせた音など信用していなかった.
シングルコイルよりも磁力が弱いポールピースを使っていてコイルを一個キャンセルさせたからといってシングルコイルの音が再現できるはずがないと思っていたのである.
だめもとで,と思って白のST-314のブリッジピックアップに載せてあるSeymour Duncan SL59-1b(Little59)を5点スイッチのブリッジ+ミドルの位置でコイルタップさせるようにした.
すると悪くない音が出てきた.ブリッジ位置ではハムバッキングの音でブリッジ+ミドルでハーフトーンが出せる.
しかし,おそらく単体でタップさせた音には似非シングルの音しか出てこないと思われるのであまり魅力を感じないだろうと思う.


こうなると味をしめてしまい,次にGT-PROである.純正のSelect by EMGがなんとも評判の悪いピックアップである.
パワーが小さいのに歪みすぎてトーンが汚いといわれている.
確かに実感としてはある.
だからといって,音に期待のできない安物のヘッドレスギターに高価なピックアップを載せてもバランスが悪くなるだけなので交換するつもりはない.
そうこうして,いろいろ調べているうちに見つかったのが,実はタップ線を遊ばせてあるということである.
F1000066.JPG
こういう情報が入ると早速,配線改造にも乗り出してしまうのである.
芯を出してセレクタースイッチに半田付け.これで出来上がり.
F1000068.JPG
それらしいハーフトーンが得られた.
出音がよくないとあまり触りたくもなくなるのだが,ちょっとでもましな音が出ると触るのが楽しくなってくるのがギターの不思議な魅力である.

2013年5月30日

火怨・北の英雄アテルイ伝

NHK-BSで1月,同総合で4月に放送された全3時間の時代劇である.
録画してあったのをようやく見終えた.
当ブログをずっとお読みいただいている方には,私が高橋克彦氏作の東北歴史小説のファンであることをご存知であると思う.
東日本大震災復興への応援として,「火怨-北の耀星アテルイ-」がドラマ化されると聞いて期待もしたが,正直見終わって落胆のため息しか出なかった.
番組BBSを見てみるとそれなりに好評価も多いようだが,そういう方の書き振りを見るに原作を読んでいないように見受けられる.
私にとっては原作のスケール,読者の裏をかく演出をはじめ,あらゆることが不満である.

まずは,朝廷の陸奥に対する支配を強めようとする理由が薄弱であり,また逆に蝦夷が反抗する理由も描かれ方が薄弱である.
物語の事の発端である宝亀の乱に至る過程が単純に伊治呰麻呂が阿弖流為にほだされただけのように思える.
阿弖流為と母礼による蝦夷軍組織,周到な戦術,また,坂上田村麻呂の懐柔戦略の進め方などが全く説明不足である.
終末近くの蝦夷の長たちの離脱と朝廷への帰順も阿弖流為を見限ったかのようで,結局,人望がなかっただけのように見える.
呰麻呂も阿弖流為もあまり先のことを考えていなかったような印象しか受けない.
原作ではそうではない.田村麻呂の人物を見込み,蝦夷が生き残る方策として離脱させていったのである.
歴史的史料は『続日本紀』くらいしか文献がないのだから事実はわからない.しかし,原作を「火怨」とし,題名にもそう記してあるのだから原作の精神を垣間見せて欲しい.
出来上がったドラマは単にモチーフとして取り上げた全く別の物語であった.それならば「火怨」にしなくてもよかったのではないか.
原作にはなかったが,唯一,評価できるとすれば,製鉄・製刀に必要な木炭のために,山は伐られ,川は流出した金気(かなけ)で魚が死に,美しい故郷を守るために荒れてしまった矛盾に阿弖流為自身が気づいても見過ごしてしまった反省が描かれたことである.

NHKの製作なのだから,同じ高橋克彦作の1993年度の大河ドラマ「炎立つ」につながるような演出を期待していたのである.実際,「炎立つ」には精神的な背骨として阿弖流為が登場する.
平安時代末期を舞台とした「炎立つ」では,安倍氏・奥藤原氏の後ろ盾として,『平治物語』『平家物語』『義経記』『源平盛衰記』などに登場する“金売り吉次”を中央で政争に敗れた物部氏の末裔としている.
奈良・平安時代初期を舞台とした「風の陣」「火怨」でも同様に蝦夷の後ろ盾として,軍用馬と黄金,製鉄の根拠として物部氏がある.
ドラマ化された「アテルイ伝」には物部氏は登場しない.ただ,陸奥馬の養育になぜか大伴氏が携わっていた.
物部氏に蝦夷の財力と技術の根拠を求めるのは偽書と結論されている「東日流外三郡誌」が下敷きになっていることを憚った結果なのか.

映像化するのならば,高橋崇氏や高橋富雄氏といった研究者の監修を得て,本当の意味の“大河”ドラマとして「風の陣」から「火怨」に至るまで,主人公を道嶋嶋足,伊治呰麻呂,阿弖流為と変えながら2,3年懸けて壮大にやってほしいものである

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