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かぜで動くのは藪医者,銭で動くのは?

吉本興業が梅田花月を落語の定席にするという.
しかも天満天神繁昌亭の昼席と全く同じ時間にして数百円安い料金設定にするとか.
吉本興業というのは,戦後,上方落語を絶滅寸前にまで追い込んだ張本人である.そして異常なほどに縄張り意識が強い.
それが上方落語ブームに乗ってこういうことをする.
このやり方は気にいらない.私のように思っている上方落語ファンは少なくないと思う.
これまでも,笑福亭仁鶴,桂三枝,桂文珍ら大御所は,なんばグランド花月に出演していたが,若手・新人にも出演の場が与えられるというのは確かに悪いことではない.
ところがおそらく,繁昌亭が所属問わず出演できるのに対し,梅田花月には吉本興業所属以外は出演できないのだろう.
吉本興業に所属する落語家は,上方落語協会員200人あまりのうち桂文枝一門を中心とした60人ほど.実は1/3に足りない.
しかも,現・上方落語協会会長は桂三枝師である.

今では珍しくないが,10年程前まで吉本興業所属と松竹芸能所属の芸人が同じテレビ画面の中に映っているなど全く考えられなかったことである.
他にも吉本新喜劇を辞めるつもりで,京都花月と梅田花月を閉鎖し,ビデオ「ギャグ100連発」を制作したが意に反してこれがヒットしたために存続したのである.
銭の匂いに釣られたとしか思えない態度である.
ビジネスなので営利追求をするのは当然であるが,その儲かった分で他の分野の保護育成も行うべきではないだろうか.
吉本興業は驚くほどの優良企業である.一般の企業が不採算部門から撤退するのとは意味が違う.しかも文化を担っているのである.

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2008年2月 8日 19:08に投稿されたエントリーのページです。

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