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「病気にならない人は知っている」Kevin Trudeau著

黒田 眞知訳

新聞下の新刊書の広告で気になったので読んでみた.
現代生活をしていく上でどの程度現実味があるものなのか興味があったのである.
しかし,ここで紹介するからといって全面的に感銘を受けたというわけではない.
なるほど,と思うことも多いが,1/4程度は眉に唾塗って読まなければならない.
オカルトじみていたり,書いてあること自体に矛盾がある.
最初に著者が「自分は医者でもなければ専門家でもない,個人的見解を述べた」と断りは入れてあるが.
たとえば,
「電子レンジで加熱した食品は電磁波によって細胞が変質しているので毒になる」と書いてあるかと思えば,「バロック音楽のCDを聞け」と書いてある.
CDというのは,ある分解能によって一度A/D変換されたものを再びD/A変換してスピーカーから出力するものだから録音された原音と再生音は全く異質のものである.
私自身が,ハードロックですらアナログ盤で聞くより,CDで聞くほうが疲れることを実感しているのである.どうも著者は認識が甘いと思わざるを得ない.
CDに問題がないのなら,電子レンジの再加熱も単に水分子を振動させるだけにすぎないから問題ないはずである.
逆に電子レンジに問題があるのなら,CDも脳と聴覚を破壊する危険なものである,という結論を導かなければならない.
家電業界がでっち上げた,私の嫌いな"マイナスイオン"は,よい効果があるものとしていることも矛盾である.
いちいち個々に取り上げていくとこのような感じで矛盾がある.
本書の全体的な論調は,利益最優先の食品業界と製薬業界が合衆国の政界・連邦行政と癒着・結託して一般市民の健康が食い物にされていることを告発しているものである.私が同じ内容を書くなら,家電業界も非難したいところである.少々バランスが悪い印象を受ける.
日本でもクール・ビズを提唱した環境省に対してネクタイ業界が反発した例を忘れてはならない.

ともあれ,本に書かれていることを無批判に受け入れない,自分なりの判断基準をもって大きな視野で読める方ならば,ずいぶんと参考になる本であると思う.
大手メーカーは常に消費量拡大のために気づかぬうちに依存症や消費連鎖を企図しているのである.
ファストフード店のMD社日本法人が"食育"と称して離島の子供たちに食べさせていたニュースが少し前にあったが,それを思い出した.
ファストフードが販売するジャンクフードなど食育の対極に存在するものであることを忘れてはならない.
化学調味料を極力遠ざけ,市販の風邪症状緩和薬品は使わないなどの心がけが必要である.

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2007年2月 3日 20:15に投稿されたエントリーのページです。

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