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2006年12月 アーカイブ

2006年12月 1日

紅の勇者オナー・ハリントン・シリーズ

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このシリーズはハヤカワSF文庫の翻訳版第一作が出た頃から愛読している.
解説にも書かれているが,“SF版帆船小説”と呼ばれている.
特に私は帆船小説は読んだ事はないのだが,「ホーン・ブロワー」シリーズとよく対比され英仏戦争がモチーフになっているとも言われている.

小学校高学年の頃から,高千穂遙作品や富野由悠季作品は好んで読んできたが,10年ほど前から海外原作のSF小説を読むようになり,読み漁るというほどではないにしろ,つまみ食いしてきた.
中でもこのオナー・ハリントン・シリーズはとりわけ気に入っている.
ダイナミックな戦闘描写と繊細な心理描写が特徴的な矢口悟氏の翻訳が読みやすいのである.
本シリーズで特筆すべきは,レーザー等のエネルギー系兵器とミサイル等の実体弾の使い分けが明確で,それがSF設定に説得力を持たせる結果を得ている.
また,超光速航法の技術として“ウォーショウスキー擬帆”と称するものが設定されており,スペース・オペラでありながら帆船小説の匂いを強く意識させている.

10月下旬,シリーズ第7作日本語版「囚われの女提督」が発売になった.
これまで一貫して,対艦戦や主人公オナー ハリントンの格闘描写等のダイナミズムが見せ場だと思ってきたが,今回は政治的・心理的駆け引きに重きが置かれている.
しかも,これまでは,続きがあるのは分かっていても一応の区切りはついていたが,今回は一難去って次の一難が待ち構えているというところで次作へ譲られている.
シリーズ第6作「サイレジア偽装作戦」からかなり間があいたので,第8作日本語版の発表がとても待ち遠しい.

最近何かと話題のSNS,mixiに本作品のコミュニティもあり,私も登録しているのだが驚いた事に翻訳者の矢口悟氏も当該コミュニティに参加して読者と作品についてや翻訳時の言い回しの選び方についての議論を楽しんでおられる.
作家としては,生の読者の声をリアルタイムで聞くことのできる格好の場として利用できるのだろう.
しかも,手紙などの手段では一方通行になりがちなものが,簡単に返答できるわけである.
すごい時代になったと思う反面,アマチュアとプロフェッショナルの境界が希薄になっていく,ボーダーレスと言う言葉で表現されるが,曖昧で混沌とした状況が予想される分,恐ろしいような気もする.

2006年12月 8日

これが正しい姿なの?

最近,何の気なしに検索エンジンで「喧喧囂囂」「侃侃諤諤」を検索してみた.
YAHOO!で「喧喧囂囂」をひくと,当サイトがNHK放送文化研究所を抑えてトップ!
Googleでは逆の順位で3番目と4番目.
どちらにしても1ページ目のかなり上位にあるわけ.
「侃侃諤諤」の場合も当ブログがYAHOO!,Googleともに1ページ目に表示される結果となっている.
これは嬉しい反面,由々しきことなのではないかと思う次第.
検索の目的が,「喧喧囂囂」と「侃侃諤諤」の意味を調べるためではないと言うことなのである.

近頃,「喧喧諤諤」などという「喧喧」「囂囂」「侃侃」「諤諤」のそれぞれの意味がわかっている者にとっては奇怪な言葉が出てきているから,そちらが正しく認識されて用いられるようになってほしいと思っている.
「喧喧囂囂」は,やかましくて収拾つかない様を表しており,「侃侃諤諤」は,強く正しいことを臆面無く議論しあうこと表している.
ならば,「喧喧諤諤」は,やかましく遠慮なく言うことか?どこかの巨大掲示板のことを表しているような言葉である.
せっかく表意文字である漢字を使っている言語なのに言葉が表す意味を全く考えていないからこういうことになる.
言葉が記号化している.日本は良くも悪くも言霊の国のはずであるにもかかわらず.

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