少し前に書いたようにBOW WOW結成30周年を機にVOW WOWの幻の映像作品が6月14日にDVD-Videoで復刻された.
実は,私は予約せずにしかも一枚ずつ買い求めたのである.
発売日前日に店に行ったら,1985年渋谷公会堂公演『VISIONS』と1986年中野サンプラザ公演『VOW WOW LIVE』(写真左)しかなかった.
『VISIONS』は最初期のもので曲目の観点からインパクトに欠けるため『VOW WOW LIVE』を購入し,1990年武道館公演『JAPAN LIVE 1990 AT BUDOKAN』(写真右)を注文して帰った.
これらのリリース情報を得たとき,4作品のうち中野サンプラザは唯一のライヴ盤もこの公演であったので最低限絶対に観たいと思っていた.
中野サンプラザ公演は『VOW WOW III』リリース後のものなので,お気に入りの曲「NIGHTLESS CITY」「SHOT IN THE DARK」等々が収録されている.
2日後に武道館公演が入荷したとの連絡を受け購入.
選曲はやや地味なようにも感じたが,このわずか数ヶ月後に前触れもなく解散してしまったという曰く付きである.
音質は断然,中野サンプラザよりも良い.
こうなると1989年LONDON ASTORIA THEATRE公演『LIVE IN THE U.K.』(写真中)も観たくなり,購入しようとレコード店に寄ったが棚に見あたらなかったので注文しようとしたら,在庫があったので即購入.
これはNeil Murray(Ba.)在籍時であり,英国でのデビュー盤『CYCLONE』がハードロック・チャートで上位に入ったという人気もうかがい知れる.
ASTORIA THEATRE公演と武道館公演は純粋にライヴ記録であるが,中野サンプラザ公演のものは,各パートをフィーチュアしたビデオクリップが挿入される.
何と言っても厚見玲衣が,巨大なパイプオルガンを前に「SIGN OF THE TIMES」のイントロを弾き始めるのが大仰で良い.
大仰であるが,ハードロック/ヘヴィメタルにはそのくらいのハッタリは必要であるし,なおかつ,そんなハッタリめいた映像でもVOW WOWには全く違和感がない.
ハーモニーを受け持つだけでなく,ギターとのユニゾンフレーズで両輪をなすかと思えば,ギターもそこのけの切れ味鋭い自己主張の強いソロを繰り出す.
ハードロックでキーボードが前面に出てくるのはあまり好みではないのだが,DEEP PURPLEのJOHN LORDと,このVOW WOWの厚見玲衣だけは別である.
ギター演奏では,右手のピックで指盤を押さえるピックタッチが山本恭司の流麗な演奏の中でとりわけ特徴的である.
一般にはタッピングで済ませてしまうのだろうが,それでは音の輪郭がぼやけて上手くニュアンスが出せないのだと思う.
また,アップテンポよりもミディアムテンポの曲のほうがそれぞれのパートが際だち,荘厳で重厚な印象を与え,VOW WOWらしさが十二分に発揮されているように思う.
今のところ当初の心づもりのとおり『VISIONS』の購入は見送っておくつもりである.