山本恭司自らによる選曲とデジタルリマスター2枚組のスーパーベスト盤が満を持してのリリースである.
オリジナルアルバムはおろか,解散後に発表された2枚組ベスト『Legacy』も廃盤状態にあり,唯一,東芝EMIが中途半端に現行盤として出している『Twin BEST』があったのみなので,VOW WOWファンの間では待ち望まれて久しかったものである.
解散間際にはメンバー間の不仲がかなり激しかったそうなのだが,ファンにとってはVOW WOWというバンドの存在が貴重だったのである.
特に今現在は高等学校の英語教員でありながら,GENKI SESSIONを定期的に開催したり,NHK教育の音楽教育番組や大谷令文のアルバムにも参加するなど,決して音楽から離れてしまったわけではない,人見元基.
好き嫌いはあろうが,彼のハードロック・ヴォーカリストとしての技量と存在感は唯一無二であり,絶対に英米のヴォーカリストにひけを取るものではないということに対しては,誰も疑問を抱くことはないだろう.
VOW WOWの5年間が人見元基の英語力と歌唱力の双方が遺憾なく発揮された唯一の場だったのではないだろうか.
このベストアルバムに寄せた山本恭司の言葉,
「VOW WOWを大好きでいてくれた人達,このアルバムで初めて音に接する人達,そのどちらにとっても,このバンドの残した音楽は,鮮烈なインパクトを持って訴えかけるはずだ.そしてVOW WOWが80年代を駆け抜けた“奇跡のバンド”だったということにも同意してもらえるのではないだろうか.」
この後も入手困難になっていたライヴ映像4タイトルがDVD-Videoとして復刻されることが決定している.
聖飢魔IIやSHOW-YA,EARTH SHAKERなど80年代のハードロックバンドが次々に再結成を行い,当時以上のライヴパフォーマンスを披露している.
ついついVOW WOWもと期待してしまうのが人情である.