年が明けて,まず,ニコンがフラッグシップ機であるF6と入門機FM10だけを残して,事実上の銀塩フィルムカメラ撤退を発表した.
F6はともかく,FM10はFマウントを採用しているというだけでボディはコシナ製である.
残すのであれば,機械式カメラとして純度が高いFM3Aにすべきだったのでないだろうか.もはや風前の灯といわざるを得ない.
ニコンは数年前に機械式カメラの設計技術伝承と組立・修理技術維持のためにS3を復刻して気概を見せてくれたばかりであるのに.
また,コニカミノルタはカメラ事業から全面撤退を発表した.
コニカのフィルム,ミノルタのカメラが途絶えてしまうことになる.
コニカ(小西六)のフィルムはかつてサクラカラーのブランド名で有名だったし,1980年前後はAFコンパクトカメラ“ジャスピンコニカ”,また1990年前後には“HEXER”で高級コンパクトカメラあるいはレンジファインダーカメラ復権のブームを起こした.
ミノルタもロッコール・レンズとMF一眼レフXシリーズやAF一眼αシリーズでへヴィユーザーを持ち,高級コンパクトカメラの先駆け,ライツ・ミノルタでも名を馳せた.
αシステムはソニーに譲渡され,残っていくことになるが,ロッコール・レンズはどうなるのだろう.
インスタントカメラやAPSがデジタルに取って代わられ,移行していくのは無理からぬことだと思う(APSは何のために出てきたのだろうか?)が,大判,ブローニー判や35mmシステムは何としても残していってもらいたいものである.
ISO100の感度を持つ35mmフィルムをデジタル写真の解像度に換算すると1200万画素に相当するそうである.
エントリークラスのカメラでは,イニシャルコストもランニングコストもまだまだ追いつかないレベルである.
私はクラシックカメラのコレクターでもマニアではない(クラシックカメラの本を見るのは好きである)が,古いライカがデジタルカメラとして利用できたらクラシックカメラファンの人たちはどう思うだろうか?
何年か前のフォトキナのレポート記事で参考出品と言う形ではあるが,35mmフィルムのパトローネ形デジタルカメラエンジンが出品されていた.
既に,大判,中判カメラやライカR8/9にはデジタルバックというアタッチメントが出ているらしいが,非常に高価なものである.
WEBページをいろいろと見ていると『たのみこむ』でNikon F3用のデジタルバックをという提案もあったが,おそらく純正メーカーが作らないことにはどうにもならないだろう.
ならば,サードパーティでよいから35mmフィルムカメラならどれでも利用できるような一般化した汎用製品をと思うのだが,やはりレリーズと記録のシンクロナイズが困難なので無理なのだろうか.
Mamiya 6, Canon 7s, Nikon F3/NewFM2/F90X/F601を所有しているが,写真機そのものは健全なのに使えないという状態になることだけが心配である.
フィルムはなまものなので買いだめするわけにはいかないのだ.