この単語がどうやら世界共通語として認識されそうな昨今であるが,元来,私は貧乏性なのでよく使う言葉である.
80年代に製造されたスピーカーのほとんどが同じ状態になってしまうという.
スピーカーエッジがウレタン製のために加水分解して劣化してしまうのだ.
ちょうど3年前にコンポのスピーカーをDENON SC-A50に新調して,古いスピーカー(KENWOOD S-7VX)をどうしようかと思いながら3年過ぎた.
スコーカーとツイーターは健全なのである.
粗大ゴミとして処分してしまうのも一つであるが,ウーファーが25cm級というのが文字通り捨てがたく,何とか再生する方法が無いかと思って調べてみるとやはりあるではないか.
“スピーカーエッジ”でWEB検索すると相当数のヒットがあった.
大半がスピーカーエッジをセーム革に交換するというもの.
購入から18年を経ているのでメーカー修理は望めない.リペアショップのページもあったが,1本当たり2万円も修理代がかかってしまう.
修理キットもあるらしいが,仮に口径が合致しても1セット8千円以上である.SC-A50は1本1万2千円なのだ.あまりにも馬鹿らしすぎる.
S-7VXは幸いにもコーンが紙ではない.当時のカタログには多湿な日本の気候に左右されないように炭素繊維樹脂を採用と書かれていた(と思う).
ということは,古いエッジを剥がすのにさほど注意を要しない.
したがって,自分でエッジ貼り替えを挑戦してみる価値はありそうなのでこの連休を利用して実行してみた.
セーム革は自動車用品店で売っているもの(1500円),接着剤は合成ゴム系の透明なものを調達してきた.
作業にかかる前にMarcus Millerの『M2』を聴いておく.低音成分が腰抜けで,かつ,ひずむ.
もっとも手間がかかり,大変なのが古いエッジを除去する作業である.
もともとは発泡ゴムのような感じだったのに,触ってしまうとベトベトして黒い糊状になる.
これをカッターナイフの刃の背と有機溶剤で剥がしていくのだが,半日を要した.
外径と糊代を考慮した輪状の型紙を作成して,セーム革を切り抜いてスピーカーエッジにする.
後は塗り残しが無いように接着剤を塗布して貼り付けるだけである.
外周は表から貼って,エッジ部は裏から貼る.エッジに緩みや皺が生じないように軽く引っ張りながら圧着する.
見切りの輪をセットすると悪くないではないか.白っぽい輪が往年のアメ車のタイヤのよう.S-7VXとSC-AC50を並べると見ための迫力が全く違う.
『M2』を皮切りにいくつかソフトを再生してみる.やはりSACDやDVD-Audioのソフトに修理の効果がてきめんに現れた.
若干低音が硬いようにも思ったが,タイトとも言える.
15年かかって劣化したものが急に新品になったので,同じスピーカーとは思えないほど良くなった.
購入したのが18年前なので,初期状態でどんな音だったかはもはや記憶にないが,もしかするとオリジナルの状態よりも良くなったのかも知れない.
最後になりましたが,スピーカーエッジ貼り替え記録をウェブで紹介されている諸氏に感謝を申し上げます.