Eric Claptonの新譜である.もはや,私は義務感と惰性で購入してしまっている.
SMAPが愛知万博のイメージソングとして歌った「Say What You Will」のオリジナルが収録されている.
レコード作品としてのリリースがSMAPのほうが先だったのでオリジナル版という印象だが,
このアルバムのリリースが遅れに遅れたので本来はSMAPがECのカバーをしたというほうが正しい.
スタジオの帰りの車中で聴きながら納得がいかないので録り直しに録り直しを繰り返してリリースが遅れたというほどに力が入った作品だそうだが,
わずか1ヶ月後にCREAM再結成公演の音声と映像記録がリリースを控えているので,CREAMからギタリストとしてのECを注目し始めたファンとしては,
どうしても,そちらのほうに気が行ってしまう.
よく言えば,聴きやすい.悪く言えば,引っ掛かるような特徴がない作品である.というほどにギターの聴き所は期待できないと言っても過言ではない.
ごろつき(Reptile:2001年)の漂泊者(Journey Man:1989年,Pilgrim:1997年)がとうとう帰宅(Back Home)したか,ということである.
一曲目の「So Tired」では,3人の娘の子育てに追われる日常を,嬉しそうになぜかダイナミックに歌っている.
「Tears in Heaven」の題材になった,その子の誕生月が8月なので喜んで『One More Car, One More Rider(2001年のライヴ盤に再利用)』を
『August(1986年)』と換えてまでリリースしたのに,同居生活して父親の役割を果たせず,それが結果的にあの悲劇につながってしまった男が,である.
そもそもこのECという人は,自分のプライベートを歌にする以外に歌詞のネタがない人である.
Jimmy PageやJeff Beckと違って,なまじ自ら歌えるがために第三者によっていいように自身を切り売りさせられるというか….
恐らくは,DELEK & DOMINOSの『LAYLA and Other Assorted Love Songs(1970年)』に始まるのだろう.
『461 Ocean Boulevard(1974年)』の「Let It Grow」もそう.とにかく枚挙にいとまがない.
もちろん「Tears in Heaven」もそうだが,もっとも酷いのは,『Money & Cigaretts(1983年)』の「The Shape You are In」ではないだろうか.
自分自身のことならともかく,当時の妻,Patty (もちろん「Layla」のモデル)がアル中になっていることを歌っているのである.
しかも,曲自体は,Albert Leeとのギターバトルが聴き所という,ノリのいい曲なのがなんと皮肉なことか.