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ホワイトブルーズの最高峰

言わずとしれた,Eric Claptonである.
先日発表されたばかりの新譜『Robert J. Sessions』を聴いた.
前作『Me & Mr. Johnson』に引き続いて,伝説のブルーズマン,Robert Johnsonのフルカバーアルバムである.
ここ最近は,映画の主題歌やSMAPへの曲提供など,ロックギターやブルーズに興味のない一般層にもアピールするような活動が多いが,
10年前の『From The Cradle』はともかく,今作・前作のようにディープなブルーズのカバーなど,そんな一般層に理解できるのだろうか.
恐らく,二十歳そこそこで"CLAPTON IS GOD!"と祭りあげられたこと,その延長上にある嵐のように過ぎ去ったCREAMの活動など知らない人がほとんどではないだろうか.
私が聴き始めたのは世代的な理由から1980年代後半からなので,もちろんBLUES BREAKERSやCREAMの頃はリアルタイムで知らない.
しかし,最初に耳にしたのはCREAMであったし,「ロックギターの基礎テクニックを確立した人」という認識であった.
だから,ここしばらくの,ルーツミュージックであるブルーズへの回帰というのは,その他の活動は気に入らないと思いながらも同時に彼の真骨頂であると思っている.
その私が聴き始めた頃は,『August』と『Journey Man』の間の時期であり,ギター雑誌のインタビューで「次はブルーズアルバムを作るよ」との言葉に期待しながら裏切られ続けていた.
レコード会社との葛藤が続いていたのだろう.
だから,表裏一体でありながらも現在の状態は古くからのファンにとっても純粋に音楽的な部分においては,幸せな状態なのではないかと思う.
そして,一般層には,オリジナルであるRobert Johnsonにも遡ってみてもらいたいと強く思う.

Robert Johnsonはミシシッピ・デルタのとある四辻(Cross Roads)上で悪魔に魂を売り,ブルーズの技巧を手に入れたという.
“BLUES=悪魔の音楽”であり,その悪魔に魅入られたEric Claptonが若くしてその技巧ゆえ“神”と呼ばれ,
CREAMの十字路(Cross Roads)が名演中の名演と評価されたというのも何とも皮肉な比喩である.

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2005年1月28日 19:41に投稿されたエントリーのページです。

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