現役の祇園の芸妓でヴォーカリストのMAKOTO(真箏)の2001年発表のデビューアルバム『MAKOTO』を聴いた.
もともとのきっかけは,北島健二のソロアルバム『Guitar_Pure』のオープニング・ナンバー「After the Fire」での小生意気と言うか,小憎たらしいというか,ふてぶてしい歌声が気に入って,しばらく迷っていたのを思い切って取り寄せして購入したものである.
アルバム全体が北島健二プロデュースであるし,全曲,北島の編曲であり,ギターでも参加しているので,そっち方面の楽しみもあるか,という納得のさせ方でもあった.
実際にこのアルバムを聴いてみると,非常に素直なヴォーカルスタイルで,もっとHIP HOPよりのR&Bやソウルで泥臭い歌声を期待していたが拍子抜けであった.
都会的で軽快なポップ・アルバムである.英語訛りの薄いアン ルイスとでも言えばいいのか.
そんな印象を抱きながらも,あまり誰も聴いて居なさそうで,かつ,シティポップ的なものにも実は目がなかったりするので,満足である.
ディストーションがあまり深くない北島健二のギターというのもなかなかに珍しくもあるし.もちろんいかにもキタジマケンジなリフやソロも聴ける.
『MAKOTO』の「disappear」は『Guitar_Pure』の「Sandpiper Bay」に歌詞をのせた同一曲である.
『MAKOTO』リリースの3ヶ月後に『Guitar_Pure』がリリースされた.これら2作品は,姉妹作と言ってもいいかもしれない.
何でも,近頃,祇園でも舞妓や芸妓も地方出身者が大多数らしいが,真箏は生粋の京女だそうである.
「明日の晩は,うちのライヴどす.お座敷で歌わしてもろてる小唄やのうて,ジャズとかロック歌いますさかいに来とくれやすな.」
とでも檀那衆に言っているのだろうか.