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市川寿憲氏逝去

最近の中で新聞の訃報欄を見てこれほど驚いたことはない.
3日に名古屋出張から帰宅して夕刊を広げていて訃報欄にこの名前を見つけてまず身を乗り出し,朝日放送のプロデューサーであることを確認して愕然となった.

普通は,この名前を聞いても社会的地位としては単なる会社員でしかないし,ピンと来る人はほぼいないと思われるが,直接関係のない人でもきわめて馴染み深い特定の人々がいる.
私もその一人である.
朝日放送のプロデューサーにして上方の伝統芸能に精通した方であった.54歳とは若すぎる.


この9月いっぱいで放送終了した朝日放送ラジオ「桂米朝よもやま噺」で上方落語の重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)桂米朝師を相手に聞き手を務めていた方である.

番組終了を米朝師の高齢による健康状態を配慮してということを理由にしていたが,もうひとつの隠された大きな理由が市川氏の健康問題だったのではないだろうか.
米朝師の孫弟子に当たる雀松師の三代目文之助襲名に立ち会えなかったことになる.
米朝師の周りの父親,正岡容,四代目桂米團治という二人の師匠,みな55歳でなくなっているという.
米朝師自身も節目だと思っていたそうである.
しかし,倅ほどの年齢の市川氏まで54歳で亡くなるとは.
しかも,八年あまり番組の聞き手を務めてきた相方である.
枝雀師,吉朝師,先代歌之助師など頼りにしていた弟子,四天王のうちの二人,六代目松鶴師,五代目文枝師,上方芸能の同胞である茂山千作,千之丞,また,小沢昭一氏など正岡門下の後輩らも先に逝き,取り残されたように思われてますます気落ちされているのではないだろうか.

これから,上方の古典芸能のご意見番として市川氏の活躍が期待されていたのにという思いと同時に,米朝師の心情を思うと上方落語ファンとして気がかりでならない.

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2013年10月 5日 08:54に投稿されたエントリーのページです。

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