Mustang最適化
ここしばらく,ムスタングにまったく触っていなかった.
1弦はチョーキングするとサドルから落ちるし,チューニングがあまりに不安定でアームに触るのも怖くなり,ダイナミックビブラートの宿命と思ってある種あきらめかけていたのである.
あるとき,ふと,そうではないのではないかと思い返し,六角棒レンチとドライバーを片手にムスタングを膝の上に載せた.
まず,ブリッジサドルの1弦側をやや高くし,1弦のサドルの下に使い古しのカッターナイフの刃を挟んで上げた.
そして,アームダウンの可変域が狭いのが気になっていたので,弦を緩めてからテールピースを下げた.
テールピースが上がりすぎていたのは,「まるごと1冊フェンダー・ムスタング」「弾けるフェンダー・ムスタング」記されていた調整法を誤解していたことだったようである.
今度は逆に,プレーン弦がブリッジの枠部分に接しない程度まで極力下げることにした.接してしまうと弦の振動が死んでしまうからである.
高さの調整が済み,再び弦をチューニングし直すと,その名のとおりダイナミックなアームダウンが可能になったばかりでなく,チューニングもさほど狂わなくなっていた.
よくチャー先生がアームダウンの後,アップで戻しをかけてチューニングの狂いを補正する旨の発言をしているが,私のムスタングの場合どうもそれは該当しないようで,アームアップするとどの弦もピッチがずれてしまう.
不思議なところはストラトと違って,チョーキングでピッチが下がってしまうことはないことである.
ナットの調整は特にはしていないが,弦溝にグリスを少し塗ってあるだけである.
したがって,正しくチューニングしては,アームダウンして収束させていけば安定するようになった.
私のストラトはST314なので,ENDROXのおかげで普通のストラトよりもチューニングは安定しているが,ムスタングのチューニング安定性も普通のストラトキャスター並みになっているのではないだろうか.
これで,抵抗なくムスタングに触れることができる.
「まるごと1冊フェンダー・ムスタング」「弾けるフェンダー・ムスタング」でのヨッちゃんこと野村義男氏のインタビューに
『ムスタングを諦めない!ムスタングのせいにしない!アーム使ったらチューニングが狂った?それは,ムスタングを乗りこなせてないアナタのせいだ!――ってことね.ムスタングのせいではナイ.』
とあったが,まさにこれである.