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国家の品格・藤原正彦著

「○○の品格」と題した本が多数出ているが,どれが最初だったのだろう.
この本は,もともと母親の所望で購入した,母の読んだ後で借りて読んだ.
私にとっては危険な本である.あまりに読んでいて心地良いのである.
傲岸不遜な言い様になるが,新たに感銘を受けるような内容は全くなく,普段,ぼんやり考えていることを具体的に著してくれたという以上のことはない.
もちろん,私にここまで具体的に著すことができるかと言えば,答えは否であるが.
母親に,この本を読んでそんなに感銘を受けたか尋ねてみたが,やはり,当たり前のことしか書かれていないと思うとの答えだった.
家族でTVニュースなどを見ながら議論して自然と出てくる結論ばかりなのである.
たとえば,小中学生の道徳教育用の読本ならばわからないでもないが,大人のための新書である.このことを情けなく思う.
この本が売れているというのは,どういう理由によるものなのだろうか.
私が感じたような心地良さを得るため,あるいは自身の考えが間違っていないことの再確認のためなのだろうか.
目から鱗を落としたような人はいるのだろうか.そんな人が多数であることこそが,日本の社会が病んでいる憂うべき事態である.
何も今さら大上段に構えて言われることではない,と言う人が大多数を占めていると信じたい.

そんな中で,これは,と思ったことが最終章にあった.
結びの章の題が「国家の品格」であり,ここには日本は「異常な国」であるべきであると述べられている.
昨今,総理大臣が「普通の国」になるべきであるとお題目のように唱えていたが,「異常な国」であったからこそ開国から明治維新を経て短期間に力を付け(それが故に欧米列強に台頭を恐れられ,圧力をかけられて数度の戦争と先の敗戦に至るわけである),また,先の敗戦から目を見張るばかりの復興を遂げたと結論づけられている.
日本は模倣が得意という認識は誤りで,作り変えて取り込むというのが独創的(=異常)とも言えるのだそうである.

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2007年11月13日 19:59に投稿されたエントリーのページです。

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