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LAYLA AND OTHER ASSORTED LOVE SONGS BY DEREK AND THE DOMINOS


Jan Reid著/前むつみ訳
かの名盤『LAYLA AND OTHER ASSORTED LOVE SONGS/いとしのレイラ』の制作ストーリーである.

Eric Claptonの作品を聴き始めて20年になる.この20年,何冊かの伝記,数知れない雑誌やムックを読んできた.
普通に「Claptonっていいよな」程度のファンよりは格段に彼のことについてのデータを蓄えているつもりである.
海賊盤には手は出していないが,YARDBIRDS以降の公式のオリジナル・アルバムはすべて所有している.
とはいえ,ECファンの中ではまだまだ若造であるし,ぬるいファンであることも自覚している.
何せ,このアルバムが制作された年に生まれているのである.当然ながらリアルタイムでは知り得ない.
本書を読み始めたときに,ECの出生からCREAM~BLIND FAITHの記述など月並みなECの伝記と何ら変わらないと思ったが,読み進めるとなかなかどうして,興味深い内容である.
ドミノスの鍵盤奏者でセカンド・ボーカリストBobby Whitlockのインタビューが背骨になった内容となっているからである.
DEREK & THE DOMINOSは,ECのソロプロジェクトの最初期であるので,彼中心のようではあるが,しかしながら,その周辺の人物達についてもまんべんなく記述がある.
特にドミノス解散はECとドラム奏者Jim Gordonとの大喧嘩が原因であるが,Jimの統合失調症など,その詳細についてはあまり書かれてこなかった.
また,もう一人のこのアルバムの主人公,Patti Harrison(当時)とのことも比較的これまでより詳しく記述がある.

前にも書いたことがあるが,今までから,ECほど自分のプライベートを直接的に切り売りすることでしか作品を作れない人はいないと思っていたが,ますますその印象が強くなった.
後年に発行される本ほど,その内容が赤裸々でショッキングなものとなっていく.日本語訳された本でPattiが不妊症だったことが書かれたのはこれが初めてではないだろうか.
そのことが,誰もが知っている悲劇をさらにECに間接的に課すことになるわけであるが….

ハード・ドラッグで心身ともに蝕まれながらも感情を絞り出すように素直に表した作品であるといえる.
しかし,とりわけ美しく感じる「BELL BOTTOM BLUES」について,睡眠薬に酔いながら寝そべって書いたとかなり以前に聞いてがっかりした覚えがある.
普段,私は音楽が大好きだが,励まされたり慰められたりすることはないと言い切れる.
しかしながら,この『LAYLA AND OTHER ASSORTED LOVE SONG』だけはアルバム全体を通して胸を締め付けられるものがある.
そこまでの情熱が詰まった名盤なのである.

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2007年4月24日 20:14に投稿されたエントリーのページです。

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