ここ最近,我が家でブームになっているのが水出しである.珈琲はもちろん,紅茶,烏龍茶,緑茶まで水出しにするのである.
珈琲の水出しに関しては,以前にもここで紹介した「ウォーターカフェ」に端を発しているが,
その他も応用してみると,渋味が少なく非常にすっきりして,旨味はよく出ているのである.
緑茶は,ビジネス煎茶などのような安物の場合,熱湯で出すと,渋味だけでなくエグ味も出てしまって飲めないのだが,
水出しにすると,高級な茶葉で湯の温度に気を遣って丁寧に淹れたお茶と遜色ない物が楽しめる
(これは言い過ぎとしても“悪い”ものが“悪くない”ものに変わるのだから十分にお得感は味わえる.)
雑味成分が出ないので,商品の等級を下げることが可能になるのも利点といえる.
これは家庭用レベルのことであるのだが,最近ずっと珈琲豆は「特選ブルーマウンテン・マイルド・ブレンド」を購入していたところを
安価(約半額)な「ホリデー・ロイヤル・ブレンド」で十分においしい珈琲が楽しめるのである.
また,何年か前に“ミュンヒ”のマスターとも意見が一致したことがあるのだが,
一般的認識では,「水出し珈琲というのは,下の下の低等級豆を使うときにやむなく行う方法で,決して高級な豆を使ってするものではない.」のであるが,
私もマスターも,「高級な豆ならば,良い味も等級に伴って高級なのだから,雑味は極力出さないようにすべきじゃないのか.良い味のエッセンスのみが抽出できればベスト.」と考えていた.
この考えが,一般の喫茶店業界には受け入れ難いらしいのである.「高級な豆を水出しなんかに使うなど,何事か.」と.
実際には,トータルで考えると,水出しにした場合,非常に手間がかかるのであるが,湯で淹れた時と違って冷める前に喫まなければいけないという強迫観念がないので気分的にゆったりでき,
しかも温度が低いために味の劣化と香りの逃げる速度が鈍り,賞味限界が延びる利点がある.
いずれも熱くして喫みたいときには,電子レンジでほどほどに加熱するか,湯煎にするとよい.
直火にかけて沸騰させてしまうと折角の香りが飛んでしまうだけでなく酸化も促進されるので注意が必要である.