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郷土愛

まず,私の嫌いなタイプの人間は,

自分の生まれ育った土地を卑下あるいは否定するヤツ
偏った,歪んだ郷土愛が突出して自分の郷土以外の土地をけなすヤツ
地方をステレオ・タイプ化するヤツ
東京至上主義者

である.

東京で一人暮らししたこともあったが,東京だからといって特別にどうということも思っていない.
私は常に"住めば都"と考えているし,自分の河内弁混じりの大阪弁を薄めようとも思わない.
ただ,この言葉・表現は,東京の人にはわからないだろうな,と思ってわざと標準語的表現をすることはある.
ただし,これは,礼儀・気遣いの範疇に入ると思っている.

明治維新のときに,当初は遷都先が大阪であったことをご存知であろうか.
いざ,皇居を大阪城に遷そうというときに,混乱にのさなか大坂城が炎上し,急遽,それまで事実上の政治の中心地であった江戸=東京に遷されることになった.
偏った大阪至上主義者は「なんで,そのときに大阪に遷都せんかったんや」と考えるところであろうが,私はそうは思わない.
大阪平野は,関東平野に比べて山と海の距離が非常に短く,しかも,古来より街があった.
現在,東京で首都機能の行き詰まりが,浮かび上がっているが,もし,大阪に遷都されていたら,もっと早く行き詰まりが訪れていたであろう.

偏った大阪至上主義者は,東京に負けまい負けまいとしているのが見え見えになっているのが見苦しい.
よく取沙汰されるのが,うどんのだし.逆に言いたい「大阪の自慢はそれだけか?」
他地方も尊重してこそ,郷土愛ではなかろうか.

他地方の人が,カンサイ,カンサイとステレオ・タイプ化するのも腹立たしい.十把一絡げにするな,と.
有名な街だけでも,京都,大阪,神戸,奈良,....とあるわけであるし,
単に行政区画の大阪府と言っても,
摂津,大阪,河内,和泉
大きく4つに分かれるのである.
言葉がこのなかだけでもかなり大きく異なるのである.
河内弁は誤解されやすいことに日頃から忸怩たる思いを抱いているので特に例に挙げる.
河内弁ときいて,「ワレ,そやんけ」と連想するのは,大きな間違いである.
河内弁の特徴というのは,促音と撥音の多用である.
例えば,東大阪市北部に「加納」という地名がある.これは,「かんのぅ」と発音する.
同様に「昨日」という言葉は,「きんのぅ」と発音する.
また,「行きよる」→「行ッきょる」などとなる.
さらに,古語辞典に載っているような単語を使うことも多い.
これは,逆に蝸牛考の考えで行くと,言葉の成立は

畿内=上方=貴族文化の中心地

から同心円状に広がるということに他ならない.貴族文化への憧れから生じた流行語の伝播である.
そう,実は古語ではなく,成立を考えると最新の言葉である.
「下らない物」という言葉は,「上方から来たのではない物」という意味である.これは事実である.

所詮,標準語は,

山の手=会津藩屋敷が林立していた場所

の言葉を基本に作った,人工の日本語に過ぎないことが明らかである.
例えば,「~でやす」→「~です」

実は,東京ことば≠標準語である.
勘違いしてはいけない.


※蝸牛考については,松本修著『全国アホ・バカ分布考』を読まれると良い.
そう,『探偵!ナイトスクープ』を全国区に押し上げたテーマである.
柳田国男ですら,京都を中心とした5重円しか描けなかったのに,なんと,13重円も描けた民俗学的に非常に貴重な調査結果である.

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2002年1月 6日 00:07に投稿されたエントリーのページです。

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