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高田郁著「銀二貫」

平成26年度第1四半期のNHK木曜時代劇で,番組宣伝で大坂の商家が舞台であることを知り,毎回欠かさず見ていた.
時代劇で大坂の町が舞台というのは非常に珍しいし,また,主人公が武士ではないので,チャンバラ,立ち回りがないのも珍しかった.
確かに時代劇としては,淡々としてダイナミズムに欠けるかもしれないが,人情劇として非常に面白く見入っていた.
歌舞伎で言うと,江戸の荒事,上方の和事といったところか.
大坂の商家の様子が知れるようなものといえば,身近には上方落語くらいしかないのである.
しかも,大坂の商家であれば船場が舞台というのが相場と思われるが,天満であるというのも少し変り種である.

テレビドラマで興味が出たので,原作小説も読んでみることにした.
普通は,ドラマの説明不足でわからなかったところが小説で氷解することが多いのだが,逆に原作小説のほうが淡白でドラマでは演出がかなり盛ってあったような気がする.
かといって,ドラマと同じような演出が原作でされていたら,くどいと感じたことだろう.

何よりも,勤め先が天満橋なのでなじみがあることも魅力のひとつに感じられた.
天満界隈が何度も大火に見舞われる描写がある.中には大阪天満宮が消失するような大火もある.
そのような火災の描写で大川のこちら側と向こう側で延焼するかしないかというようなこともあり.
毎日通っているところなので,風景が抵抗なく想像できてしまう.

心情,科白が当然ながら,なにわことばで記されているので,普段使っている言葉に近く,イントネーションもそのままで伝わってくる.
とても,読後感もさっぱりとすがすがしい.

妻いわく,同じ高田郁氏の「みをつくし料理帖」も民放でドラマ化されているが,少し見ただけでも陳腐すぎて納得感がまったく得られなかったということである.
「みをつくし料理帖」は江戸を舞台に上方生まれの女性料理人が活躍する話であるが,大阪で制作するべきだったのかもしれない.

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2014年8月 8日 22:36に投稿されたエントリーのページです。

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