ディスクレビューをブログに書くのはかなり久しぶりのことだったと思う.
これは,聴きたい!書きたい!という衝動が湧くような作品がしばらくなかったことも大きいし,落語に興味が行きっぱなしになっていたということもある.
程よく落語熱が治まってきたところへ,雑誌のリリース情報で見つけたこの作品である.
DVD-Videoと同時発売だったが,CDを選んだ.映像作品は目と耳を拘束されるからである.
買った動機は完全に惰性だったが,聴いてみると公式にリリースされた近年のECの実況盤でもっとも良いと思えた.
2005年のCREAM REUNIONよりもである.
ERIC CLAPTONとSTEVE WINWOODと言えば,BLIND FAITHである.
ごく短命に終わったスーパー・グループであるが,このときから本格的な歌い手としてのERIC CLAPTONがスタートしたように思う.
もちろんBLUES BREAKERSでもCREAMでも歌ってはいた.しかし,主たる歌い手は別にいたので余興に近かったのではないだろうか.
BLIND FAITHでもSTEVE WINWOODという素晴らしい歌い手がいたのは確かであるが,この前後で歌の比率がまったく異なっているように思えてならない.
本業のギターの弾き方も明らかに違う.
さて,作品の中身であるが,ごくシンプル.60年代末の雰囲気のままである.
最近の大所帯なクラプトンバンドに過剰ささえ感じていたので,とても好感が持てる.
選曲もBLIND FAITHに偏ることなく,ERICとSTEVEのバランスの取れた持ち寄りがいい.
「FOREVER MAN」は意外な感じがしたが,他は普段からのECの定番ともいえる楽曲なので手馴れた感じ.
大きく違うのは,「CAN'T FAIND MY WAY HOME」などのBLIND FAITHの楽曲群がオリジナルのSTEVEの歌で聴けることである.
ERIC CLAPTONはやはり60年代のアーティストであることを改めて強く感じた作品である.
古臭いと言う意味ではない,リアルタイムでは体験してはいないが,ロックミュージックがもっとも豊潤で芳醇な時代であったのかもしれない.