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#『ザ・ミュンヒ』#
大阪府八尾市刑部(おさかべ)2-386
この店は逆立ちしても,素人レベルでは真似できない.「珈琲だけの店」.初めて行ったのは,もう10年少し前になる.従兄に「おもろい珈琲屋あるで」と連
れて行かれたのが最初.そのときには,有無を言わさず,というか,従兄が勝手に“シルクロード”とクリームチーズケーキを注文した.
メニューを見せられて目を剥いた.そのときには数えなかったが,後で聞くと当時で珈琲だけで73種類あった.現在もじりじりと増えている.ただし,毎日全
部注文通り出る訳ではないが.
それと自家製チーズケーキが3種.クリームチーズケーキと,ブルーベリージャムののったレアチーズ
ケーキ,シャーベットチーズケーキである.
店の真ん中にはドイツの名車バイク,“ミュンヒ”が鎮座していた.その当時には半年毎にオランダ製の“ヴァン・ヴィーン”と置き換えられていた.ハー
レー・ダビッドソンやアマゾネスなど比べ物にならない稀少な逸品だそうである.今は入れ替えが面倒臭くなったらしくずっとミュンヒである.
バイクの上には,真空管アンプのオーディオセット.黙っていればよく聞こえ,話していれば気付かない,程よい音量でジャズが流れている.その横には5連で
ダッチ珈琲が抽出中でたまにボコッとしゃっくりをしている.
テーブルと椅子は北海道産の黒檀.椅子を引くだけでも重い.おヒヤのグ
ラスはバカラ.珈琲茶碗は萩焼きやマイセンなど.灰皿もマイセンである.店のドアの横には『飲む珈琲より嗜む珈琲』と書かれた短冊.
それからは,友達を連れて行ったり独りで行ったり.わざわざ自動車運転して20分かけて珈琲1杯喫むためだけに,である.
今となっては,店に入るとマスターに「濃いのおまっせ」と顔を見るなり言われるようになってしまった.
このマスター,客の名前は覚えようとは
しないが,客の好みと顔を一致させるのは異常に早い.まず一度行ったら覚えている.
風貌は憂歌団の木村充揮に少し似ている.若い頃の写真を見せてもらったことがあるが,玉木宏に似た野性的な美青年だった.常連といわず新顔といわず,こ
ちらが興味を示す素振りを見せると2時間は足止めを喰らう.そのくらい話し好きである.
タイミングがよければ,試作品を無料で試飲させてくれたりする.普通の店ならば,回転率と能率が悪いこと著しい.それを店主自らやってしまっているのであ
る.珈琲の話に限らず,スーパー・カブを駆って夜通し走って他地方の名店の珈琲を1杯喫む5分ほどだけで,とんぼ返りして帰ってくる話など,マイペースで
飄々とした変なおっさんぶり全開である.日本に1~2台あるなしのバイクを所有していながらスーパーカブなのである.
他の地方に出張するとなると,お薦めの店を尋ねに行っていた.今でも,少なくとも数ヶ月に1回は,必ず行きたい店である.初めての方にお薦めする珈琲は
“シルクロード”か“アイ
ス・ウィンナ・コーヒー”である.私は,ストロングをオーダーすることが多い.水出し以外は基本的にネルによるドリップ.紙やサイフォンは使用しない.
1kgの珈琲豆から60mlだけ2時間以上費やして抽出するという“スパルタン”は,濃くても後味のすっきりした,これぞ正真正銘の“ファースト・ド
リップ”である.
#『カフェ・ド・ランブル』#
東京都中央区銀座8-10-15
「珈琲だけの店」と看板
を掲げた初めての店である.戦後の日本の珈琲史を体現している店で,ここを巣立った名店のマスターも非常に多いと聞く.私は未
読であるが,この店を主題に置いた著作物も何冊か出版されている.珈琲店一店で本一冊書けるのである.
ここで喫む珈琲のお薦めは,何をおいてもデミタスである.そしてこのデミタス・カップが特徴があり,取っ手が無いのである.ゆっくり滴下してドリップす
るのでぬるいのである.だから
取っ手は必要ではない.
色は澄んでいて,後口が非常にすっきりしていて喫みやすい.
初めて行ったのは,ミュンヒのマスターに教えられて,である.1995年前後だったと思う.東京出張があるが,東京でいい店は?と尋ねたのである.ラン
ブル
でそのことを告げると「よく来られますよ」との返答.大阪は河内からスーパーカブを転がしてくるのであろう.
直接師事したわけではないが,ミュンヒのマスターはココの珈琲に感激し,店の路線を「珈琲だけの店」に変更したそうである.現在ランブルのマスターは隠
居されて店先には出ないが,豆の仕込みだけはされて
いるそうである.
東京では一押しである.東京にいるなら,まずココの珈琲は喫んでおくべきであろう.
#『美
美』# 福岡県福岡市中央区今泉1
-19-18
この店は,“3人以上のグループお断り”である.
お高くとまっているような印象も受けるが,店構えを見ていただければ,納得もいく
だろう.
うるさくお喋りする店ではない,ということも言えるが,何せ狭いのである.狭いがゆえに大勢でお喋りされると他の客はおろ
か,珈琲を点てるのにもかなわない,という「逆もまた真なり」なのであるが.
マスターの装束が独特である.珈琲染めにした薄褐色の
厨房着なのである.風貌は物静かな嘉門達夫といっては失礼か.
珈琲は私の好みからするとやや薄め.しかし,価格はそれなりのもので
ある.ネルドリップである.繊細な味がする.最も値が張るのが“ゴールデン・ハラール”800円.
お店で売っている豆の袋にはこの
店のドリップ法が
『初め点
滴,蒸らしが要.エキスを出したらへそからのの字.泡ぶた落とさず濾せば美美』
#『大坊珈琲店』# 東京都港区南青山3-13-20
初めて訪れたときの店員は意外にも全員女性だった.しかも若い.切れ長の目をした,なかなかの美人のお姉さんがゆっくりとネルフィルタで滴下してドリッ
プする点て方.なので温度
はぬるい.また,何度か訪れた別の日にはマスターとおぼしき初老の男性がいた.
鶴首の
ポットの口は細く湯が落ちるように曲げてあった.実はココがドリップの難しいところである.
フレンチローストで苦味が強いが,苦味に慣れた後の甘味,酸味ともなかなか濃厚で雑味はなく,ブラックで喫める.
#『カ
フェ・アンセーニュ・ダングル』# 原宿店:東京都渋谷区千駄ケ谷3-61-11-102,広尾店:東
京都港区南麻布5-15-25
初めて訪れたのは広尾店.ロマンスグレイのちょっとごっつい感じのマスターが点ててくれる.
店はほの暗いが,マスターの手元だけ電気スタンドが照らしてい
る.これは,原宿店においても共通である.
このお店もフレンチローストでネルドリップ.こちらは滴下ではないので熱い珈琲である.
デミタスをオーダーする際に「かなり濃いですよ」と釘を刺されたが,その濃いのが目当てなわけである.
こちらも強い苦味のなかに甘味酸味がバランスよく後口もスッキリ.
チーズ
ケーキも生っぽくて濃厚でそれが珈琲とよく合う.
#『六曜社珈琲店』#
京都府京都市中京区河原町三条下ル東側
所在地を見ていただけば分かるように,三条河原町にある.店は1階と地階に別れている
1階では創業者,地階では二代目が珈琲を淹れてくれる.1階ではオリジナルのケーキが楽しめ,地階は夕方からバーになるが,注文すれば珈琲も出してくれ
る.
京都には,イノダコーヒや小川珈琲などのコーヒースタンドの走りとも言える老舗があるが,そうした店とは一線を画している.
抽出法は,ペーパー・ドリップであるが,ブレンド,煎り,挽きのバランスとドリップが巧いためか,後口は決して悪くなく,むしろすっきりと切れが良い.
店名は,水曜日定休で,営業日が週六日間であることからだそうである.
#『ヴォルール・ドゥ・フルール(花泥
棒)』# 原宿店:東京都渋谷区神宮前1-10-23,下北沢店:東京都世田谷区北沢2-56-17
東京に転勤したときに,愕然となったのが,新宿,渋谷,池袋といった大繁華街にまったくと言って良いほど満足できる珈琲店が無い事である.そんななかでこ
の店の渋谷店は特筆すべきである.しかも店の内装も過剰に落着きを演出するわけでも,華やかなわけでもなく程よい.渋谷という場所柄タレントもよく訪れる
そうである.そういう
店でありながら,珈琲の抽出にも非常に手間をかけたネルドリップである.'96年頃にも一度だけ訪れたことがあった.そのときには気づかなかったのである
が,最近再訪してみるとかなり若い女性の店員が一人だったのである.正直,「こんなコにそんな良い珈琲が淹れられるのか?」と不安に思ったが,杞憂に過ぎ
なかった.デミタスが用意されていたり,オールド・ビーンズによるブレンドがあったり,珍しいベトナム・コーヒーがあったりと,渋谷のセンター街の外れに
置いておくのはもったいない店である.
このような本格的な店であるのにもかかわらず,原宿店,下北沢店,下北沢南店となぜかベトナムのサイゴン店と支店がある.下北沢店に行ったときに前述の
若い女性店員がいた.数人で各店の間をローテーションしているのだろう. ※現在,渋谷店は閉店しています.
#『Tea House
MUSICA(ムジカ)』# 大阪府大阪市北区堂
島浜1-4-4アクア堂島ビルフォンタナ館3階
珈琲ではなく紅茶専門店である.案外と紅茶専門店というのは少ない.エレベータを下りた瞬間に,紅茶の香りに包まれる.メニューはとにかく紅茶である.さ
まざまな産地・銘柄の茶葉,淹れ方が用意されている.それと各種スコーンやクッキー,ケーキなど.現在の店舗で三軒目,数年前まで堂島グランドビルにあっ
た.このときに喫茶室とは別に,茶葉販売専門の店舗が併設されるようになった.紅茶を注文すると,通常はホットなのでポットに象をかたどった保温用のキル
ティングのティーコジーが掛かって出される.一杯目は新鮮な香りを,二杯目はコクを,三杯目は強烈な苦みと渋みをミルクで和らげてたっぷり三杯分楽しむ.
イギリス人は,この最後の一滴を紅茶のエキスが凝縮された“ベストドロップ”と呼ぶそうである.
#『オランダ』# 大阪府大阪市浪速区難波中2-1-5
日本橋電気街の北の端に位置する.日本橋に買い物に行くと,ほぼ必ずこの店で珈琲を一服する.数十mと離れていない所に安いコー
ヒースタンドがあるにもかかわらず.
何よりも,店内の雰囲気は落ち着く.
珈琲自体は,可もなく不可もなし,であるが,そこはやはり自家焙煎の豆である.日本橋にはコーヒースタンドやファーストフード店含め,たくさんの喫茶店
があるが,同等の値段を掛けて珈琲を喫
むためにどこに入るかと言えば,この店しかない.
焙煎した豆は,日本国内はおろか,香港にもファンがいるそうである.
珍しいメニューは,“カフェ・コン・ジェラート”.コーヒーカップに入れたジェラートの上から熱いエスプレッソを注ぐのである.
#『アラビヤコーヒー』#
大阪府大阪市中央区難波1-6-7
ミナミの穴場とも言える珈琲店である.初めて訪れたのは'90年頃に遡る.その頃は,可もなく不可もない珈琲であると思っていた(勿論,一般の喫茶店から
比べると非常に高い水準にある)が,先日久しぶりに訪れると, 一日十杯
限定でダッチ・コーヒーが出されるようになっており,やはりさすがにクセのない柔ら
かな味の珈琲が楽しめる.
坂東三津五郎をはじめとした新歌舞伎座や松竹座等で公演を行う役者でもこの店のファンは多いそうである.
道順は,戎橋筋からではなく千日前から法善寺横丁に入り,水掛不動を横切って逆に戎橋筋に向かうと右手に容易に見つかる.
#『フクモト珈琲』#
大阪府東大阪市近江堂2-
10-49
近畿大学の南西方向に位置し,なかなか見つけにくい場所にある.主に豆の販売であるが,店の奥に喫茶コーナーがあり,その場でも珈琲を喫む事が出来る.
その
情報は事前に入手していたので,まず,喫茶コーナーで味を確かめて,美味しかったら豆を買って帰ろうと考えていた.ブレンド,ストロングともに1杯280
円.銘柄ものでも300円と非常に安い.ストロングを注文したのだがとても喫みやすい珈琲だった.コーヒースタンドで250円も払うのが馬鹿らしくなるほ
どである.いまどき,珈琲専門店ではない喫茶店であっても最低450円は覚悟しなければならないのに驚きである.店を出るときにブレンド豆を200g購入
して帰った.家庭で淹れても美味しさはそのままである.残念なのは,近所のスーパー帰りのおばちゃん方の溜まり場となっていて,とてもうるさい.安いこと
も理由なのだろうが,珈琲を解さないおばちゃんには価格には関係なくもったいない珈琲である.
#『CAFE BAHNHOF』#
阪急三番街B2デリカランチマーケット
ごく近所で珈琲豆を調達していたがその店が閉店してしまい,しばらく通勤途中にある店などいろいろの店で珈琲豆を買っていたがどれも,どうも後口が悪く
今ひ
とつだった.そうやっていろいろと渡り歩き,行き当たったのがこの店である.焙煎売りがメインであり,この阪急三番街店では5人ほど座れるカウンターしか
ない.100gから買えるのがいい.古くなる前に使い切ってしまえるからである.普通は100g単価で価格は表示されているのに最低200gからという店
がほとんどなのである.オリジナルブレンド100gが税込み525円というのは少々高いかも知れないが,ハンドピックで手間がかかっている.実際に死に豆
や未熟豆はない.そのために香りに不純な匂いは混じらないし,後口が非常によい.よくよく店頭をみてみると,オーナーがカフェ・バッハの田口護氏のお弟子
さんだそうである.田口護氏というとテレビ番組などで珈琲のドリップのレクチャーがあると必ず出てくる人で,全国にも弟子が多数居ることで有名である.行
き届いたハンドピックであるのも頷ける.お店で喫む珈琲は,可もなく不可もなしである.
#『コーヒーフェア サカグチ』#
大阪府東大阪市
長堂1-3-1ブランドーリ商店街
よく行く理髪店のごく近所に位置しており,少々気になっていたので入ってみた.店の表で珈琲豆の販売,奥で喫茶店を営んでいる.昭和40~50年代のま
ま時間の流れが止
まっているような店の雰囲気である.カウンターと二人がけのテーブルが二つだけ.珈琲の点て方はサイフォンなのであまり期待はしていなかったが,存外,口
当たりが良く,サイフォン点てにありがちな舌に残る不快な渋みがなかったのでクリーム不要であった.
お店で喫む珈琲はハウスブレンドで350円,豆の販売は100gからハウスブレンド260円で非常に手頃である.自宅でも浸漬法で淹れてみたが,豆その
ものの選別が行き届いて粒揃いでクセがなく,さらりとした口当たりで非常に喫みやすい.生豆も販売している.
#『蔦珈琲店』# 東京都港区南青山5-11-20
青山学院大学に隣接している.場所はわかりやすいが,うかうかしていると見逃してしまう.さほど大きな店ではないが,中庭があるのが珍しい.
肝心の珈琲であるが,使う豆は一種類のみ.そこからコーヒー,アメリカン,デミタスを淹れ分ける.また,チーズ三切れが付いたチーズセットというのがあ
る.下手にケーキと合わせるよりもよほど良い組み合わせであるカウンター越しに淹れる様子を覗いていると,カフェ・ド・ランブルによく似たフィルターと手
つきである.甘みのある珈琲楽しんだあと,勘定を払ってマスターに話しかけてみるとそこからが長かった.物静かだと思っていたマスターが我が意を得たかの
ように饒舌に話し出した.趣味が高じて店を持ったような人である.やはり,哲学をもって珈琲に向き合っていることが話していると強く感じられた.やはり,
自作のフィルターはカフェ・ド・ランブルを手本にした手作りであった.
#『マウンテン』# 大阪府東大阪市神田町3-5
辻占の総本社として有名な瓢箪山稲荷神社参道の近所である.主に自家焙煎の珈琲豆の販売で喫茶コーナーは午後6時まである.
おしなべて安価である.260~340円程度.ペーパードリップ一杯点て.ほかの店にない点というのが,フレッシュを使うかどうかを尋ねられるのである.
フレッシュを頼むと勘定の時に10円加算される.挽きの加減かどうか,ペーパードリップでも,最後に微粉が残らないので,フレッシュなどそもそも不要であ
る.基本的にブラックでという人には,なかなか良いシステムであると感じた. 店頭販売は珈琲豆のほかに,紅茶や日本茶(月ヶ瀬)がある.
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